優しさと「おろか者たち」

 今月の初めに注文しておいた、あすなろ書房の「哲学」(全8巻)が入荷したとの連絡があり、さっそく本屋さんへ行って購入。3週間も待った。それぞれの本に20編くらいの短編小説が収載されている。太宰治三島由紀夫吉行淳之介、その他大勢の作家が名を連ねている。それぞれの本に表題があり、サブタイトルとして「中学生までに読んでおきたい哲学」とある。第4巻の「おろか者たち」だけ、理由があって他の本屋さんに注文していたが、こちらは先週末に手に入ったので、先行して読み始めている。読んでみると、確かにこの文章と内容では、小学校高学年から中学生向きなのかもしれないと思った。一編が本当に短いので簡単に読める。しかし、その内容は濃く、そして深い。初老の私でも唸ってしまう。というか、ある程度人生を積み重ねてきた自分だからこそ、その内容を深く察し、考えさせられるのだと思う。小学生、中学生にも読める。ただ、年をとればとるほど、その短編小説の意図するところを、より多く知ることになるだろう。良書であることは間違いない。私のような年の人間でも持て余してしまうほどの内容だ。「おろか者たち」に収載されている、「だめな人間なんていない」(松田道雄著)に書かれてある言葉。「軌道修正を何度もやれるほうが、宇宙旅行も人生行路も安全だ。」「大事なことは、軌道修正がいつでもできるように、人間としてのしなやかさを失わないことだ。」「人間は、余裕をもっていないとだめだ。」他にもたくさん良い言葉がでてくる。大切なところをその都度赤ペンで線をひいていたら、全ページ真っ赤になるかもしれない。このような良書に中学生の頃、巡り会えていたら、私の人生は大きく変わっていたかもしれない。